もし、あなたのお子様の永久歯が無かったら、どうしますか？
 
１０〜２０人に1人の割合で、永久歯が１本〜生えてこない子がいます。
これは、学校のクラスで例えると、１クラスに１人か２人の割合となります。
 
2009年に「国内でこれまでに発表された29の報告，一般集団73,077名(17論文)，矯正患者25,769名(12論文)を用いてメタアナリシスを行い永久歯の先天的な欠如をもつ人の割合が一般集団では5.1%，矯正患者では，9.4%であった」という内容が報告されました。他にも同様の内容の文献・報告もあります。
 
簡単なセルフチェックの方法としては、
１：上の前歯が顔の中心からずれている
２：上の前歯と下の前歯の中心が、ほぼ歯１本分ずれている
などがあります。
 
もし、そのような時は私たちはどのように対処したら良いのでしょうか？
 
上下顎の骨格的なこと、歯の並び方、噛み合わせ、年齢にもよりますが、
 
・矯正治療（ワイヤー矯正やマウスピース矯正）
・インプラントなどによって歯を入れる治療
が必要なこともありますし、治療が必ずしも必要にならないこともあります。
もし、お子様の歯、もしくは自分の歯をみて気になることがあれば、かかりつけの歯医者さんでご相談されると良いと思います。
現状と将来的な治療プランを知ることで不安が解消されるかもしれません。
 
２０代後半の男性の方の実際の治療をお話しいたします。
治したいことは、
「顔の中心から前歯がずれている」
「口元が出ている」
「噛み合わせ」
ということでした。
 
口腔内を拝見すると、先天的に上顎の左側切歯（左の写真の矢印の部分）の欠損がありました。
このことが原因となって、歯が全体的にずれて生えるので、顔の中心よりも左側に歯の中心があります。
ご相談の上、治療計画としては、顎関節の状態も確認した上で、全顎的な矯正をおこない噛み合わせ・歯並びを整え、歯の欠如している部分は、永久歯１本分の隙間を作りインプラント治療を行うことになりました。
 
口元の出ている感じを治すには、検査の結果、上顎では右側の小臼歯の抜歯が必要になりました。一般的には前から数えて4番目の歯、私たちが第１小臼歯と呼んでいる歯が対象になることが多いのですが、この方の第２小臼歯をみるとすでに歯の神経をとってあり、被せ物が入っている歯でした。
 
将来的な歯の寿命は、神経があり被せ物が入っていない第1小臼歯が長いと診断し、第2小臼歯を抜歯して矯正治療を行うことになりました。
（デメリットは矯正治療の期間が長くなるということはありますが）
 
そして、矯正治療の進み具合を確認して、適切な時期にインプラント治療を併用して、同時進行で実際の治療を行います。
 
このような、矯正治療とインプラント治療のコンビネーションの治療によって、
「顔の中心から前歯がずれている」
「口元が出ている」
「噛み合わせ」
という患者様の課題は解決できました。
（今後、経過を確認しながら奥歯の治療を進めていく予定です。）
 
今回の矯正治療とインプラント治療のコンビネーションの治療は、先天的に生えてこなかった歯を補い噛み合わせを改善するという咀嚼機能という面だけでなく、審美面でも、心の面でも自己概念を高める役割として、有効な治療だったと感じています。
 
最後になりますが、子供のときに先天的な永久歯の欠如に気がついたときの治療方法を少しだけ触れておきます。
私たちのグランプロデンタルクリニック銀座では、
１：永久歯への生え変わりを確認しながら、正しい成長誘導のお手伝い（小学生）
２：他の永久歯が生え揃ってきたとき（中学１〜２年ぐらい）に必要があれば確定的な矯正治療開始
３：必要があれば大人になってからインプラント治療（成長期が終わってから）
となります。
 
最後まで読んで頂きありがとうございました。
ご質問・ご不明なことなどございましたら、お気軽にLINEなどでメッセージ頂けれると嬉しいです。
これからもよろしくお願いいたします。