私たちのクリニックでは、前歯の審美的な状況をオリジナルのこちらの分類表に従って７つの項目を診査します。
 
その結果、一つの治療方法でなく、全額的な矯正治療と前歯4歯分のラミネートベニアの二つの治療を併用し、「歯の位置」と「歯の形」を変えることで、噛み合わせという「機能」と見た目の「審美」を改善することを目標に治療を行うことにしました。
 
（仮に、セラミッククラウンの治療だけで行なった場合は、歯肉の形の改善・噛み合わせの改善は行うことができずに、見た目の改善は歯の色を変えるぐらいしか出来ないと判断しました。）
まずはマウスピースによる矯正治療を行なってから、ラミネートベニアの色を少しでも明るくするために、周囲の歯のホワイトニングを行いました。
 
ラミネートベニアの利点は、
①前歯の裏側のエナメル質を保存できる
②セラミックとエナメル質を接着できる
という２点が挙げられます。
 
①によって、治療による噛み合わせの改善と変化は、歯が摩耗していた部分をラミネートで覆った先端部分のみで、将来的に起こる噛み合わせの経年的な変化に対して、裏側に天然のエネメル質が存在しているので、他の歯と同様に自然的に摩耗することができます。
先端部の改善で、見た目の改善と前歯による奥歯を守る機能が付与されました。
また、セラミッククラウンの場合に比べて、歯を削る量は当然少なく、基本的には裏側は削らずに、正面部分のみ削りますが、その際にエナメル質を残して削るので、局所麻酔を使わなくても治療を行うことができました。
 
②セラミックは、象牙質に比べて、エナメル質の方が強く接着させることができます。この接着方法によって長期的に良好な結果が得やすくなります。
 
矯正治療は、歯の位置を改善します。ラミネートなどのセラミックは歯の形と色を改善します。今回のように時間をかけてでも二つの治療を併用することで、歯を削る量を最小限にしながらも、審美的・機能的な改善を行うだけでなく、長期的な良好な予後を目指すことができると考えています。
 
＊実際の治療期間は、途中での来院が途絶えることがあって、約５年を要しましたが、３〜４年で治療を行うことも可能だと考えています。