そもそもインプラント治療は、何のために行う治療でしょうか。
 
「歯が無くなったから、それを補うためです」という答えは正解のようで、不十分だと思います。

 
では、歯が１本無くなったら、１本インプラントを入れるだけの治療で終了しても、本当に大丈夫なのでしょうか。
 
突然の事故でない限り、１本の歯が抜歯に至るまでは、何年間・何回かの歯科治療歴が必ずあります。
 
虫歯の治療、神経の治療、歯周病の治療などを色々な治療を行って、残念ながら、最後に抜歯を選択しなくてはならない状況になっています。
 
 
この一連の治療過程で、ほとんどの場合、歯の移動などが起きてしまい、噛み合わせ的な問題が起きていると思います。
または、噛み合わせ的な問題があるからこそ、抜歯に至ったかもしれません。

多くの方は、「上下の歯」はしっかりと接触していても、
筋肉のバランスが悪かったり、顎関節にずれが生じている（中には音がする方もいます）状況となっています。
（こちらについては、噛み合わせの検査をすると一目瞭然となります。）
 
ただ、私たちは理想的な噛み合わせでなくても問題とならない許容範囲を持っています。
 
この許容範囲は個人差があり、ちょっとのことでも歯にトラブルが起きてしまう方から、
長期的には心配ですが、全く逆で、歯が動いたり・すり減ることや、多少の顎関節のずれなどでうまく対応している方もいらっします。
 

 
 
ここで、インプラントに話を戻しますと、

インプラントに至るまでに周囲の歯もずれてしまっていることが少なくない

にも関わらず、インプラントには、強固に顎の骨に結合していますので、噛み合わせの問題に対して、

ので、これまで気がつかなかった噛み合わせの問題が一気に浮上することもありますし、
顎関節への影響も適応能力の範囲を越えてしまうこともあるのです。
 
 
インプラントを検討される状況では他の歯の問題には気が向かないかもしれませんが、
一口腔単位でしっかりと噛み合わせを考えた上でインプラント治療を行っていただけると、
インプラントにとっても、他の歯にとっても良い治療になると思います。