院長ブログ
仮歯の重要性について
仮歯の重要性について(仮歯が必要な時は、セラミック・インプラントなどの治療の時です)
私たちは、歯科治療のゴールは、長期的に噛み合わせと歯を支える歯周組織が良好な状態で維持・安定することと考えています。
その治療において大活躍するのが「仮歯」なのです。この仮歯の役割について、噛み合わせにだけ焦点を当ててご説明したいと思います。(実際には歯周組織との調和も図る調整も同時に行なっていくのです)
私たちのクリニックでは、仮歯は噛み合わせ治療の精密な設計図・海図と考えています。
ですので、仮歯無しでの治療を例えると、設計図無しで建てる高層ビル、海図無しに広い海に出航する船だと考えています。
それって、すごく不安にならないでしょうか。
私は仮歯を使って治療をすることによってのみ、良好な成果を得ることができます。
仮歯は歯科治療において、ビルの設計図・船にとっての航海図にあたるものです。
ただ、十分に精査されていない設計図でビルを建てることができないように、やみくもに仮歯を使っても、求めたい治療ゴールに到達することはできないかもしれません。
ですので、噛み合わせが関係する治療には、精度の高い仮歯作製と仮歯調整が重要かつ不可欠です。
ですが、仮歯が重要ですと言っても、「どうせ使わなくなるので簡単で良いのでないですか?」と思われる方が多いかもしれません。
確かに最後は使わなくなるのが事実です。
POINT
仮歯を効果的に使うには、治療の段階ごとに役割を変えて、形態を修正し、アップデートさせることが大切です。
言い換えると、段階によって仮歯の形を成長させるのです。
ここで、仮歯の段階を説明します。大きく分けると3段階になります。
*この治療方法はPGIで学んだ治療方法です
1段階目:応急処置的に噛めない・痛いなどを解決するために、なんとなくでも良いので、一旦、噛めるという噛み合わせの位置を設定します。
その後に、詳細な検査を行います。検査結果をもとに治療計画、言い換えると設計図を作成するのです。 実際には仮歯を作る前にも少し検査をしているのですが、それは応急的な治療を行うことや、大まかに治療の方向性を見出すことが目的です。
この段階での精密な検査とその結果を熟考することによって、初めて本当の治療計画が作成できるのです。
この段階をテンポラリーと呼んでいます。この検査によって問題点が抽出されたら、それらを解決する次の段階へ進んでいきます。
2段階目:ここでは、
①噛み合わせのずれの調整(早期接触と呼ばれます)
②咬合平面と呼ばれる左右上下のバランスを整えます。例えると飛行機の翼の長さ・位置・角度などを左右上下にバランスよく整えることでしょうか。
③咬合高径を整えます。②と③の順番を守ることが噛み合わせ治療にとってkeyになることです。
総義歯の治療の段階で咬合採得といって噛み合わせの高さを見つけて、記録するステップがあります。このときも高さに先立って、平面を決めます。 矯正治療においても、咬合高径が適正でも、咬合平面(咬合湾曲)が不適切ですと、奥歯などに問題を引き起こす可能性があります。
ここまでが、静的な要素と呼ばれることについての調整です。
次に動的な要素の調整になります。
前歯・犬歯・臼歯の3つ組みのがそれぞれの機能を果たしながら、他の組みの機能を障害することなく、自由に機能運動が行えるという相互負担咬合を付与します。
同時に審美的な面も整えます。
調整時にチェックするポイントは、噛み合わせは18、審美には13のポイントがあります。
合計31ポイントにも及びますが、実際の口腔内の状況に合わせて治療の最終ゴールを設定します。
この段階で達成できなかったことを整理して、次の段階で最終的な調整を行います。
ここまでがテンタティブと呼ばれる段階です。
3段階目:この段階を私たちは、プロビジョナルと呼んでいます。
この段階では、最終的に製作するのはセラミックなどの補綴物と、仮歯は材質の違いだけという状況を目指します。
ですので、技工士さんに新しい仮歯をセラミックを製作する代わりに、セラミックに付与する形態の仮歯の製作を依頼することもあります。
セラミックを製作する前の最終段階の仮歯になります。
前段階で調整した仮歯には、口腔内の様々な貴重な情報が刻み込まれています。
技工士さんにとっても大変有意義な情報になります。
仮歯情報無しに、技工士さんにセラミッククラウンの作製をお願いしても、設計図無しにビルを建てることになるので、良い結果が得られないかもしれません。
この段階での仮歯の調整を経て、ようやくセラミックの製作になります。
完成したセラミックを仮止めに留めておくことも、実はプロビジョナルの段階です。
仮歯とセラミックでは、硬さの違いもあって、噛み合わせた感触が全く同じにならない時もあります。
ここ口腔内での変化を確認し、必要であればセラミックの調整を行います。
調整すべきことがなくなったら、最終的に歯にセラミックを接着します。
ここで第3段階が終了です!
そして、治療の最終段階に入ります。
最終段階:パーマネントと呼ばれています。
ここでは、長期的な経過観察と咬合調整を行います。私たちの歯は毎日少しずつ動いていて、一生にわたって噛み合わせも変化しています。
その変化を観察し、必要な時は介入することで噛み合わせの問題が起きることを未然に防ぐ予防的なことを行なっていきます。実際の仮歯の調整は、歯周組織のことも考慮しながら行なっていくので、もっと多くのことを行なっているのです。
また、治療の難易度によって時間のかかり方も違ってきます。
仮歯は歯科治療の設計図ということをお話ししましたが、難しすぎた内容だったかもしれませんが、歯を削ってセラミックにするのは、患者様にとっても、私たちにとっても重要なことなので、やっぱり、こだわりたいと思っています。
「仮歯の調整の質が、歯科治療の結果を決めます」
これからも歯科治療の質の向上のために頑張っていきます!
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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