グランプロデンタルクリニック銀座

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院長ブログ

私たちのマウスピース矯正(アライナー矯正)について(続編)

前回のコラムの続きです。
 
マウスピース矯正は、ワイヤーを着けることなく、これまでの社会生活を維持しながら、噛み合わせの問題を解決できる素晴らしい治療方法だと思います。
その反面、事前に思ったような成果を得ることができないといったことが、社会的な問題にも成りつつあると危惧しています。
 
そこで、今回は私たちが考えるマウスピース矯正治療の成果を高めるポイントをご紹介します。
マウスピース矯正の現状をお伝えしますので、治療を受ける際の参考にして頂けると幸いです。

前回は、「治療計画」と「治療経過の確認」の大切さについて説明しました。
このことは、マウスピース矯正だけでなく、ワイヤーを使った矯正でも同様だと思います。
 
今回は、それ以外について私たちの考えをご説明します。
 
個人的な考えですが、将来的には、矯正治療はマウスピースが主体の時代が来ると思いますが、
現状としては、マウスピースはそもそも、歯をぎゅっと押す力によって歯を動かすというメカニズムですので、歯を傾斜させたり、回転させるような移動は得意ですが、実はそれ以外の移動は苦手になります。
 
そこで、この苦手な動きを補うために、
以下のような補助的な手法を併用することで、良好な結果を目指します。

・歯の表面につける突起
・ボタンとゴム
・部分的なワイヤー
・アンカースクリュー(ミニインプラント)

などが挙げられます。
 
また、矯正治療期間の前半を全体的なワイヤーなどで動かしたあとに、後半をマウスピースに移行して完了するといった治療期間の半分ぐらいをマウスピースで行うということや、
そもそもマウスピースは適応外との診断の場合、最初から最後までワイヤーで行うことがあります。
矯正を希望される方の口腔内の状況は一人ひとり違っていますので、上記のように

①マウスピース主体での治療
②ワイヤー主体での治療
③前半ワイヤー、後半マウスピースなど

の中で、診査・診断をもとに最良な選択を提供しています。
 
将来的には、補助的な手技の拡大と、突起やシートの開発によって、①のマウスピース主体での矯正治療の適用が多くなると思います。
例えば、補助的な手技の拡大例としてコルチコトミーがあります。
私は寿谷法コルチコトミーという外科手技を併用した矯正治療について講演・講師を20年ほど前から行なってきました。
過去に寿谷法コルチコトミーを併用した矯正治療によって、成人矯正の課題の解決・治療期間の短縮・歯の移動量の増加などの良好な結果が得られました。
現在は、寿谷法コルチコトミーが変化した手技も見受けられ、このような「コルチコトミー併用マウスピース矯正」も行われるようになってきたと聞いています。
 
他には、振動や光などを併用することで良好な成果が得られたとの報告もあります。
 

 
さて、マウスピース矯正について、私たちは10年以上行ってきましたので、
その経験・感想の一部をお話しします。
 
①マウスピース矯正には、出来ることと出来ないことがあります。
 
②歯の移動距離・形式によっては、最初の想定よりも多めの枚数のマウスピースが必要です。
 
③会社によって、シートの大きさなど性能が違いますので、同じ歯科医師が治療を行なっても、使う製品で結果が違う可能性があります。
基本的には大きいものが有利だと考えています。
 
④インプラントを併用できる方が良好な治療結果を得やすいことがあります。
 
⑤歯科医師によって治療計画と経過への対応が違います。
例えば、マウスピース矯正での治療の際に、奥歯が噛まなくなる時期がありますが、この時にどのような対処方法を選択すべきかの見極めが重要です。
 
⑥マウスピースならではの歯の動きがあり、それはメーカーのシュミレーションには現れないことがありますが、逆にその性質をうまく利用することも大切です。
 
⑦治療前・治療中の顎関節の状態から、歯の動きだけでなく、頭蓋骨に対しての下顎骨の位置変化を予測・対応し、顎運動をチェックしながら治療を行うには、ワイヤーよりマウスピースの方が有利かもしれないです。
これまで、顎関節・噛み合わせ治療などで1000個以上マウスピースを作製し、治療に活用してきた経験からの実感です。
 
⑧マウスピース製作会社がイニシャルの仮想の治療計画を作成します。ここから私たちは、咬合・矯正などの見識をもとに現実的な治療計画に昇華させます。
その際に、歯根とその周囲の歯槽骨をCTデータで確認しながら治療計画を作るので、実際に何度も歯槽骨・上顎骨・下顎骨を見たことがあるという外科的な経験が生かされることが多いです。
 
⑨マウスピース矯正は、デジタルデータだけで行うことも可能ですが、リアルな模型(歯型)も必要です。

 
⑩1か月〜2ヶ月ぐらいの周期での定期的なチェックが必要です。
・チェックポイントはマウスピースと歯がフィットしているかどうか。フィットしていない時は、その原因と解決方法を解明し、その実施。
・フィットしていても全体的にずれることもありますし、マウスピースが弱っていてフィットしているようになっていることもありますので、その観点からも問題ないかどうか。
・虫歯、歯周病の状況
・⑦で触れた下顎の位置の変化
などをチェックします。
 
ここには全てを書ききれませんが、上記のことを念頭におきながら治療をしています。

マウスピース矯正って、もっと簡単な治療方法だと思っていた方もいらっしゃるかもしれませんね。
グランプロデンタルクリニック銀座では、噛み合わせの問題解決のためには、歯の本数がそろっている時は、以下の3つの手法から最適な手法を選択・組み合わせて行っています。

・歯の位置を変える:矯正
・歯の形を変え:ダイレクトボンディング・セラミック
・顎関節の状態を変える:マウスピース(スプリント)・マニピュレーション・リハビリ

の3つです。
(歯の本数が少ないときはインプラントも併用します)

POINT

前歯が「綺麗」になることで心理的にも豊かになると思います。
ですが、矯正治療は噛み合わせという「機能」を改善する治療方法の一部です。

前述のように、マウスピース矯正が適応になる方と、そうでない方はいらっしゃいます。
 
「機能」に裏付けられた「綺麗」の両方を手にいれるために、マウスピース矯正を活用して頂けると嬉しいです。

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